2024/12/5
高知工科大学は、1997年に創立された高知県香美市に本部を置く公立大学。一般的な学部編成ではなく、学群編成を採用している点が特徴で、現在、システム工学群、理工学群、情報学群、経済・マネジメント学群、データ&イノベーション学群といった学群編成となっています。
その中でも、2024年4月に開設されたデータ&イノベーション学群は、デジタルとビジネスの両基盤を持った「文理統合型人材」の育成をコアコンセプトとしており、AI・データサイエンスを基礎から学ぶカリキュラムと、イノベーションに必要なビジネス基礎を学ぶカリキュラムを1年生から同時並行で進められています。
データ&イノベーション学群の特徴として挙げられるのが「グループワーク」を重視している点で、キャンパス内にはグループワークを行うために、「K-HALL」と呼ばれるアクティブラーニング教室が用意されています。
そして、そのK-HALLにはGoogle EDLA認証を取得した電子黒板BenQ Board の65インチ「RP6504」が11台、86インチ「RP8604」が2台と、計13台のBenQ Boardが導入されています。今回、K-HALL にBenQ Boardが導入された経緯、そしてどのように活用されているかについて、K-HALLの整備に携わった同校 准教授の佐伯幸郎(サイキ サチオ)氏に話を伺ってみました。
佐伯幸郎 准教授
大学では、プログラミングの初歩、データサイエンスの入門などを教えているという佐伯先生ですが、電子黒板を初めて使ったときのことをこう振り返ります。
「学生たちと打ち合わせやディスカッションをする際に、自由に書き込めて、記録も残せて、いつでも以前の内容を見返すことができる。電子黒板はすごく便利なツールだなと思っていました」
その経験から、高知工科大学に着任した際も、自身が属する研究室にいち早く導入。「基本的には普段使っているホワイトボードなどの延長」という佐伯先生ですが、書いたものは消さなければならないという一時的な用途のホワイトボードに対して、電子黒板は以前書いたものをいつでも読み出せるという再現性があり、「少し慣れは必要ですが」と前置きしつつも、この利便性の高い体験を通して、学生たちも電子黒板を積極的に使うようになると言います。
高知工科大学の「K-HALL」は、データ&イノベーション学群主体で作られた、いわゆる“アクティブラーニング教室”。
データ&イノベーション学群を新設するという話があがった際、グループワークを主体にするという計画になっていました。「これまでの教室は机や椅子が固定されている環境が多かったので、みんなが集まってグループワークができる場を作りたいという想いがありました。それで場所を探していたら、机も椅子も折りたたみで可動式のものが使われているスペースがあったので、ここを利用しない手はないなと」
理想のアクティブラーニング教室として利用するためには整備の準備が必須。「結局のところ、環境を整えるために3~4カ月ほど掛かりました」と。ここから佐伯先生の構想が具体的に動き出すことになります。
「グループワークを行うためには、少なくともホワイトボードとディスプレイが必要と最初は考えていました。しかし、それらをグループ数にあわせてそれぞれ設置するにはスペース的にどう考えても無理がありました。そうなると、ある程度投資してでもグループごとに電子黒板を導入するのがベストだと。」
「電子黒板の導入がすぐに認められたわけではない」という佐伯先生ですが、「なぜ電子黒板が必要なのか」、「どのように使いたいか」を大学運営関係者に対してもしっかり説明し、最終的には理解を得ることができたと振り返ります。
「BenQさんは、液晶ディスプレイの会社というイメージだった」という佐伯先生。高知工科大学に着任後、最初に研究室で購入した電子黒板もBenQ Boardの先代モデルだったそうです。90インチクラスの電子黒板を探していたら、たまたま見つかったのがBenQ Boardだったそうで、その際の選定ではブランドや細かい機能性までは特に意識していなかったとのこと。
「サイズで選んだらたまたまBenQ Boardで、最初は仕様や性能についてはあまり気にしていませんでした。本当に大きな電子黒板という理由だけで購入したのですが、実際に使っていくと、機能的にもかなり優秀なことがわかったので、K-HALL の電子黒板導入検討時の参考になりました。」
さらに教育向け展示イベントのBenQブースで「NFCカードでログインができる」という話を聞いたことが、その後大きな判断ポイントになったと言います。
「電子黒板を使っていて、一番困るのがデータの保存場所です。もちろん本体に保存することもできますが、学生が使うことを考えると、自分のファイルは自分のスペースに保存する必要があります。そうなると必然的にログインという作業が必要になるのですが、一言で言うと面倒くさい。やはり、ログインしなければいけないというのは大きな障壁になるだろうなと」
佐伯先生は、電子黒板にNFCカードログインができる機能が存在すると知ったとき、高知工科大学の学生証にNFCチップが入っていることを思い出しました。「もし、学生証をかざしただけでログインができるのであれば、手間は掛からないし、学生自身のGoogle ドライブにもすぐにアクセスが可能になる。」そこで、学生証のNFCでもログインできるかどうかを実際の製品で確認し、成功。そこから、K-HALL導入電子黒板の必須機能として「NFCログイン」が重要なポイントとなりました。
さらに、BenQ BoardがGoogleのEDLA認証を取得している点も高く評価。高知工科大学の学生アカウントはGoogle Workspace for Educationを利用しているため、学生は保存先として各自のGoogleドライブを利用し、そこに直接保存することができるのです。
「そうなれば、大学だけではなく、自宅のパソコンやスマートフォンからもアクセスできるので、いつでもどこでも確認することができます。導入前に考えていた課題がすべて解決できるという点で、Google EDLA認証モデルのBenQ Boardはニーズを満たしてくれました。」
現在は、高知工科大学のK-HALLに、前述のとおり、計13台のBenQ Boardが導入されていますが、学生たちは特に違和感なく受け入れてくれていると佐伯先生は話します。
「おそらく、半分くらいの学生は、小・中・高のどこかの時代で、一度くらいは電子黒板に触れた経験があるのではないかと思います。一応、最初に一コマとって、ログイン設定や簡単な使い方をレクチャーするのですが、その後は普通に使っているので今の学生はテクノロジーに対して心理的な障壁とか、使いにくさ、わかりにくさを感じることは少ないようです。言うなれば大きなAndroidタブレットですから、今の学生にとっては使いこなせて当たり前なのかもしれません」
実際、K-HALLでの授業が終わった後、多くの学生がそのまま残って、自習やコミュニケーションツールとして活用しているとのこと。自由時間などに準備のためにK-HALLに行くと、かなりの確率で学生たちがBenQ Boardを活用している現場を目にするそうです。
「ほかの学群の先生の話では、データ&イノベーション学群の1年生はとても仲が良いと言われます。普通、大学生って授業が終わるとバラバラじゃないですか。もしかすると、BenQ Boardを通してのコミュニケーションもその1つの要因かもしれません」
計13台のBenQ Boardが各グループテーブルの側にあります。ホストとなる先生のPCをHDMIケーブルでつなぎ、そのHDMIケーブルが分配器を介して13台のBenQ Boardにそれぞれつながっています。
講義の始めは、先生のPC画面が全BenQ Board画面に映し出されています。 グループディスカッションタイムになると、BenQ Board画面が切り替わり、ホワイトボードアプリを活用して議論します。ディスカッションタイムが終了すると、先生が全BenQ Boardの画面を切り替えて、ホストである先生のPC画面表示に戻します。
全BenQ Boardの画面切り替えは、BenQ デバイス管理ソリューションのDMS Cloudを利用しています。DMS CloudでPCから、全BenQ Boardの入力ソースを一括切替しています。
このような複数のBenQ Board運用に関しても、「自分だけが使うのではなく、様々な先生が誰でも簡単に使えるようにする必要がある」と考え、先生側からの画面共有についてはミラーリングではなく、あえてHDMIケーブルによる有線接続を利用しているそうです。
「これまでディスプレイやプロジェクターを使っていたときと同じように、教員側はケーブル1本挿すだけで接続できる環境にしたかった。ネットワークに無線接続してInstaShareのアプリから……って話をしだすと、途端にハードルが上がり誰も使ってくれないと思ったからです。また、無線LANネットワークが学生用と先生用とで分かれていることもより運用が複雑になる可能性がありました。今までどおりのやり方で簡単に使えるほうが新しいデバイスに対してのハードルを下げることができると考えました。」
K-HALLの活用方法ではケーブルかミラーリングかよりも、グループワーク時に必要な要素が理想的な配置にあることのほうが大切で、みんなが前を向くのが難しい特有のデスク配置でもあることから、どこからでも授業資料が見られる環境を作るほうに重点を置きました」
DMS Cloudには他にも機能がありますが、それについてはほかの先生方には紹介していないと言います。「できるからと言って何でも伝えてしまうと、逆に混乱の元になります。あえて利用者目線で利用する機能を選別することも必要では」と問いかけます。
佐伯先生に液晶モニターと比較した、電子黒板の良さについてお伺いすると、「画面に直接文字が書けて、それも含めて保存ができる点」と即答。従来は、タブレット画面にパワーポイントを表示して、そこに書き込んだものを液晶モニターに出力するという手段を使っていたそうですが、「見た目は同じことになるのですが、やはり直接画面に書けることは大きなメリットであり、非常に便利な点だと思っています」と太鼓判を押し、さらに液晶モニターと比べて大画面という点も非常にありがたいと続けます。
大画面という点ではプロジェクターの使用も検討すべき課題となりますが、「大学という環境を考えると、今後はプロジェクターよりも電子黒板のほうが主流になっていくと思います」というのが佐伯先生の見解です。
「プロジェクターは、教室が明るいと見えにくくなりますし、けっこうメンテナンスが必要なので、運用上の管理工数がかかります。その点でも、電子黒板以上のものにはなりえないと思います。また、書いたものをすぐに保存できるという機能ひとつとっても、プロジェクターと電子黒板には大きな差があります」
「これは教員側しかわからないかもしれませんが、プロジェクターを前にして授業をするとプロジェクターの光が目に入り眩しい」という問題を提示し、「けっこう見逃されがちですが、特に天井の低い教室だと、本当にスクリーンの前に立つのがつらいし、影が映り込んだりもします。それを気にしなくてよいだけでも、講義に集中でき電子黒板のメリットは大きいです」
「電子黒板では、教員がちゃんと使いこなせるかどうかが大きな課題にはなりますが、それさえクリアできればプロジェクターから置き換わっていくことも必然の流れだと思います」
ホワイトボードに関しても、ホワイトボードマーカーのメンテナンスが不要になるのは大きいと指摘。「教育設備に投資できる環境であれば、電子黒板との親和性は非常に高い」と、今後大学を中心に、電子黒板の導入が進むことを予測します。「電子黒板では、教員がちゃんと使いこなせるかどうかが大きな課題にはなりますが、それさえクリアできればプロジェクターから置き換わっていくことも必然の流れだと思います」
最後に、電子黒板の導入を検討している方に対して、「導入したいと思っている方は、すぐに導入したほうが良い」という佐伯先生。「何ができるとか、どう活用できるかという点は、まだ具体的に見えない部分があったとしても、まず一度実機に触れてみれば、自然と良さがわかってくると思います。」とのアドバイスをいただきました。
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